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コラム

家族信託を上手に活用しよう

遺言代用型信託契約

信託契約という形をとることによって、遺言よりも確実に希望の形を実現できる場合があります。本稿では、そのひとつの例として、遺言代用型信託契約の活用例について解説します。

【事例】
 Sさんには、財産管理のできない子Bさんがいます。Sさんは、自分が亡くなった後もBさんへ財産(不動産、金融資産)を遺したいと考えています。Sさんの希望を確実に実現するにはどうしたら良いでしょうか。

 このような場合に、一番に思いつくのは遺言書を作成することです。ただし、遺言書はいつでも撤回できてしまうこと、遺言書があったとしても相続人全員で改めて遺産の帰趨を決めることができてしまうことから、確実性に欠けるところがあります。また、自己信託という方法もありますが、仮に引継ぎに失敗すると信託自体ができなくなってしまい、この場合にもSさんの意思の実現が図れなくなってしまいます。
 そこで、Sさんの意思を確実に実現しようとする場合には、信託契約が有用であるといえます。

 具体的には、委託者Sさんは、信頼のおける親族Tさんを受託者とし、自らを受益者として信託契約を行います。そして、Sさんが生きている間は、自分が得ている利益を直接子Bさんに渡すことができますし、Sさんが亡くなった後には、受益権を遺贈する等してBさんに承継させることができます。また、Tさんが適切に財産を管理しているか監督するために信託監督人を選任することも可能です。こうすることで、Sさんの遺産を、確実にBさんへ渡すことができるのです。
 その後、Bさんも亡くなってしまった場合に備えて、残余財産受益者や帰属権利者を他の親族(例えば受託者)と決めておくことで、「後継ぎ遺贈」も可能になり、Sさんの遺産が国庫へ帰属するということもなくなります。

 以上のとおり、信託を用いれば、遺言書等では確実に実現できるか分からないような財産の遺し方をすることも可能になります。さらに、後継ぎ遺贈のように、自分が財産を遺したい第一次的な者のみならず、それ以降の者についても指定することにより、家族の事情に応じた様々な希望を実現することもできるようになります。
 財産の遺し方について具体的なご希望がある場合には、どのような方法をとることが良いかも含め、専門的な知識を有する弁護士に相談していただくことが有益です。弊所では、信託についてのご相談も、多く取り扱っています。まずは、お気軽にお問い合わせください。

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