コラム
Q.信託の終了時に不動産取得税はかかるか。
1 結論
信託の終了時には不動産取得税が課されるのが原則です。例外的に不動産取得税が非課税となる場合もありますので、信託設定時の信託条項の書き方に注意が必要です。
2 信託開始時の名義変更は非課税
信託において、委託者から受託者に不動産を委託して、受託者が当該不動産の管理、処分する場合、委託者から受託者に不動産の所有権の名義変更を行うものの、これは形式的な所有権の移転に過ぎず、実質的には、委託者が所有権を有していると考えられるため、受託者に不動産取得税は課税されません(地方税法73条の7、3号)。
3 信託終了後に所有権が移転する場合は原則課税
反対に、信託が終了し、これにより委託者以外の者が当該不動産を取得する場合には、実質的にも所有権が移転するため、原則として、不動産取得税が課税されることになります。
4 非課税となる例外的場合
ただし、以下の要件を充足する場合には、例外的に、不動産取得税は非課税となります。
① 例えば、信託が終了した際に、委託者本人に当該不動産の所有権が戻される場合は、実質的には所有権は移転しないため、不動産取得税は非課税となります(地方税法73条の7,4号イ)。
② また、委託者の死亡し、信託が終了した際に、委託者の相続人が当該不動産を取得する場合には、当該信託の効力が生じたときから委託者に変更がなく、委託者のみが受益者である場合であれば、一般的な相続の場合と同じで相続税の対象となるため、不動産取得税は非課税となります(同4号ロ)。
5 信託条項の記載方法に注意しましょう
このように、信託条項の定め方によって不動産取得税の課税の有無が変わり、課税負担の多寡が変わる可能性がありますので、信託契約設定時には、信託条項の記載方法に注意する必要があります。
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