コラム
Q.信託終了時の残余財産の帰属権利者と割合が明確に定められていない場合に、税金面で注意することは何か
1 結論
委託者の共同相続人について二重の課税がなされる可能性があります。
2 委託者の相続人が帰属権利者とみなされる
信託法182条2項によれば、委託者の死亡を理由に信託が終了した場合において、残余財産の帰属権利者の定めがない場合には、委託者の相続人を帰属権利者と指定する定めがあったものとみなされることになります。
共同相続の場合には、複数の相続人に残余財産の権利が移転することになるため、共同相続人間の協議により、特定の相続人に残余財産の帰属を集中させることも考えられます。
もっとも、残余財産は相続財産ではなく、遺産分割協議の対象とはならないため、上記共同相続人間の協議について遺産分割の遡及効等の規律は適用されず、法律上はあくまで当初の共同相続人への権利移転とは別個の新たな権利移転と考えることができます。
そうすると、信託終了による共同相続人への権利移転と、その後の共同相続人間での権利移転の双方ともに(二段階にわたって)課税がなされる結果、二重の課税がなされてしまうおそれがあります。
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